結城浩『数学ガールの誕生 理想の数学対話を求めて』

 

『数学ガール』の著者、

結城浩さんによる講演の記録。

 

あの素晴らしい作品の数々が生まれた背景や、

そこに流れる結城さんの想いや姿勢を、

講演記録という生に近い言葉で読むことができ、

非常に興味深く、あっという間に読んでしまいました。

 

思わず(?)英語版『Math Girls』も買ってしまいました。

 

 

『数学文章作法 基礎編』でも仰っていた

もっとも核となる考え方、

「相手のことを考える」こと。

 

それは、書籍やサイトで言えば読者であり、

授業であれば生徒であり、

 

そういう相手のことを考える。

 

D.カーネギーが『人を動かす』で

何度となく強調したこととも同じ。

 

コミュニケーションを説く人たちが

最終的にまとめることとも同じ。

 

「相手の立場を考えましょう」

「相手の気持ちを考えましょう」

 

そしていわゆる黄金律、

聖書にいう

「人にしてもらいたいと思うことは何でも、

あなたがたも人にしなさい」

 

論語にいう

「己の欲せざるところ、他に施すことなかれ」

 

非常に基本的であり、本質的であり、

根源的であり、当たり前のことでもあり、

しかしそれを追究し実践することは難しく、

実現できている人は決して多くない。

 

けれども結城さんはそれを実践していて、

作品という形で結晶化し、

反響という形で成果を示し、

まさに有言実行です。

 

「相手のことを考える」ことが体現された作品に

出会えた幸運を活かし、

少しでも自分の教育活動に取り込みたいと強く思います。