クレイトン・クリステンセン「教育×破壊的イノベーション」

 

教育×破壊的イノベーション 教育現場を抜本的に変革する

教育×破壊的イノベーション 教育現場を抜本的に変革する

  • 作者: クレイトン・クリステンセン,マイケル・ホーン,カーティス・ジョンソン,櫻井祐子
  • 出版社/メーカー: 翔泳社
  • 発売日: 2008/11/20
  • メディア: ハードカバー
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ICTを学校へどう持ち込むか、という観点からの

破壊的イノベーションの実践アイデアです。

 

方向性としては「個に応じた学習」を実現する手段として、

ICTを活用しようという話です。

 

理由は、学び方は人それぞれに異なるから。

 

今の画一的な教育においては

「無消費者」として位置づけられてしまう

マイナーなニーズを持った子どもや、

たまたま落ちこぼれになってしまった子どもに応えるために、

ICTを利用しようという主張。

 

 

分かりやすいし説得力もあるしで

一気に読めてしまうくらい面白かったのですが・・・

 

しかしこれは「学習内容の習得」に焦点を当てた場合の

改革の方向性ということになるかなと思います。

 

例えば、極端な話、

一人で黙々と勉強するのが、その子にとって一番効果的である、

という子どもがいた場合に、

当然そうさせるべきだ、というのが本書の方向性です。

 

でも、それでいいのかなと思ってしまうわけです。

 

いま大いに揺るがされようとしている学校の役割、

という問題なわけですが、

 

学校が子どもに与えられるものは、

学習の内容なのか(教科やクラブやプロジェクトの内容)、

学習のプロセスなのか(いわゆる学び方の学びも含めて)、

経験や体験なのか

 (成功体験や失敗体験、あるいは試験や試合に挑戦したという経験)、

良い習慣なのか

 (「成功する子 失敗する子」で論じられたような)、

無意識に学ばれるものなのか

 (ヒドゥンカリキュラム、あるいはキャリア教育的側面)、

その後も続く人間関係なのか、

などなど。

 

もちろん1つだけというわけではないのですが、

しかしどこに焦点を当てるかで、

あるべき学校・教育・学習・授業の姿は変わってくると思うのです。

 

 

本書の内容は概ね共感できるし、

実現したら良いなぁと思うのですが、

 

「個に応じた教育」の実現という方向は

難しい部分も含んでいるなぁと改めて考えさせられています。