栗田哲也『思考力を鍛える不等式』
不等式に特化した受験参考書というのは珍しい。
大事なのだけど、なかなか体系的に扱う機会がないんですよね。
栗田先生らしい、分かりやすい解説です。
高校数学から大学数学への大きな変化の1つとして、
求値から評価へ、というものがあります。
(だから大学への入り口である入学試験で問われるわけです。
しかし受験生にそのレベルを求められるのは最難関大学だけですが)
値がバシッと定まらないのはいくらかフラストレーションですが、
じわじわと真の値を追い詰めていくのは
探偵物にも似たパズル的な楽しさがあります。
そして、値が決まらないということは、
多様性が生まれる余地があるということですね。
なかなか高校段階で、
自分で評価のアプローチを定めて、実行して、
さらにそれを改善していく、というのは難しい要求かもしれませんが、
(そのアプローチのための武器を学んでいる段階なので)
何らかの形で授業に取り入れることができたら
アイデアの共有が面白くなりそうな予感がします。